メーカーでバッグなど皮革製品の貿易業務、海外生産事業に携わり、フリーランスとして海外ビジネス実務を経て、当社を22年に設立しました。タイ南部パッタルン県の職人による籠バッグを受注生産しています。籠バッグは同県の特産品で、水辺に自生する天然植物クラジュードを原料としています。
職人はクラジュードを乾燥させ、手で編んで染色し、刺繍を施しています。1人が1個の生産工程全てを担うため、量産のできない一点物です。 カスタマイズで犬や猫などペットの写真を手刺繍しています。イラストレーターが顧客からもらった画像をイラストにし、毛並みやひげなど細部を再現します。そのイラストを基に、職人が刺繍しています。
刺繍籠バッグを扱うようになったのは、23年にタイを訪れた時にプレゼントされたのがきっかけです。手仕事の魅力を改めて実感し、日本でも販売したいと思い工場を探すなか、展示会で刺繍籠バッグの先生に出会いました。職人のいる村を紹介して頂き、生産が実現しました。
籠バッグは約250年前に生産が始まったとされ、母から子へと代々受け継がれている伝統工芸品。国を挙げて職人を増やしており、販売に力を入れています。ただ、タイの土産物屋で売られている籠バッグは低価格で職人に利益が還元されません。それならと考え、当社は刺繍やデザインで付加価値をつけて販売し、職人を応援しています。 職人の村は電気がほとんど通らず、生活水準が高くありません。それでも職人は楽しそうに物作りしています。村にとって籠バッグの生産が唯一の産業です。
当社は注文を出して応援し、いつか売り上げでソーラーパネルを買いたい。 この思いはフリーランスの時にタイの人たちに助けられたからです。感覚が似ているため、タイの人がとても好きだし、タイの人も日本を好きでいてくれているため、恩返ししたい。 一つひとつ籠バッグを作るのは大変かもしれないですが、職人には「心を込めてほしい」と伝えています。顧客とペットとのストーリーを話し、想像しながら作ってもらっています。 今後の目標は、籠バッグを神奈川県鎌倉市で富裕層やインバウンド向けに販売すること。前職で出会った師匠のような存在の人の力を借りて、必ず成功させたいと思っています。