「ギルド」なつかしい響き

 イタリアにはフィレンツェ地方にタンナーと呼ばれる製革業者がある。皮を鞣して革にすることを製革というが、鞣しには大量の水を使用するので、大きな川が近くにあるとか、地下水が豊富であるとか、アルプスの天然水のように北欧のタンナーは水がきれいなので発色の良いレザーが出来るという話をイタリアのatema社、フランスのcostil社の担当者から聞いたことを、ふと思い出した。

 イタリア中部のトスカーナ州の州都はフィレンツェ。県庁所在地はフィレンツェ。人口は約37~38万人。群馬県高崎市とほぼ同じだ。

 2021年のデータによると、フィレンツェ(102km2)の人口密度はおおよそ3,800人/km²。
一方、群馬県高崎市(460km2)の人口密度はおおよそ1,100人/km²でした。高崎市は日本の群馬県に位置し、工業都市として知られてい。トスカーナの史記と文献を調べつくした鞣し製革業界の人の話によると、1282年に始まった製造物の作りてと売りて(仕事の役割)を取りまとめた団体を今でいう組合として登録し、外部の組合と分けて活動したいたそうだ。北ヨーロッパ地方の古語の「支払い」という意味の言葉がヨーロッパ各地の言語と混ざり合い変化していったが私たち日本人には学校の教科書で見覚えのある「ギルド」がちょうどいい。

 昨今、問題視される二酸化炭素の排出量規制、プラスティックのリサイクル課題、そして牛のゲップに含まれる二酸化炭素とからめてヴィーガンを語ることもあるが広義でのヴィーガンの定義は動物の搾取に対する自己規制と理解する。日本人として八百万の神々が存在するという考え方からすると、動物、とくに牛の搾取に集中する理由は明確に理解できていない。「すべてのものに宿る神」とするならば、革に代わりの合成皮革は地球の天然資材の石油であり、綿花や麻、そして竹、コリヤナギなどの身近な植物にも命と神が宿るのだから、何を搾取していい、これはいい、あれはダメということ自体考える時間の搾取ではないか。

 ヴィーガンレザーには植物繊維、リサイクルレザー、ラテックスなどが使われている。牛を搾取したとするが鞣した革(製革)が作りすぎで余る原因は発注元の下請けに対する数量コントロールが厳しすぎるからだと考える。100という発注に対して95だとクレームされるのだ。しかし、それはサラリーマン化した従業員の自分の立場を守るだけの表面的な仕事のせいで、そのために下請けメーカーは100の発注に対して105の材料を購入して100ぴったりで納品することを余儀なくされてきた。

 余った革を再生レザーにするにも石油由来の原材料が使われる。革をリサイクルしてヴィーガンレザーを作る以前に、皮を革に鞣して活用している時点ですでにリサイクルしていることにはならないだろうか。つまり、再生革は正しくは「リ・リサイクルレザー」と呼ぶのが正しいだろう。

 そんなことより、革が最終的に土壌に戻るまでに5000年と少しかかるという計算が発表されているが、5000年前に鞣した革が1000年くらい前には土壌に残っていたが、500年前、100年前と現在に近づくに従って土壌に戻ってなくなってしまったということになる。時は止まらないので永遠に革が生み出され土に戻るのであるからそれ自体SDGsと考えることができる。

 プラスティックゴミが再生されても、5mm以下のマイクロプラスチックは存在する。数えることは簡単にはできないが、つまり1mmのゴミ、2mmのゴミ、3mmのゴミ、4mmのゴミそれらをまとめてマイクロプラスチックと呼んでいる。そして、1mmを1000分割して目には見えない小さな粒にしたものが「ナノプラスチック」と呼んでいるに過ぎない。

 問題は、1mm~5mmのマイクロプラスチックは人体の臓器に悪影響を及ぼす。それ以下のナノプラスチックは最終的には人間の「脳」にたどり着き正常な思考を邪魔する、らしい。恐ろしいがこの流れを止めるには不便さに戻るだけでいいのだ。

 目の前の出来事を180度逆からとらえることを真逆という。過去は変えられないが未来は変えられるというのも逆に考えると、過去は変えられるが未来は変えられないと解釈できる。過去に起きたことは変えられないが、その出来事を異なる解釈でとらえると、そうだと思っていた過去の出来事を異なる受け止めで変える事ができるが、これから起きることは変えられないとなる。

 人間関係に例えると、自分は自分を変えられるが、他人を変える事は出来ない。他人を変えようと言葉をかけたり、行動することは自分の出来る事であり、相手が変わるかどうかは相手が自分を変えようとするか、そうでないか。そう考えると人には親切にして自分が目指す理想的な生き方をする以外人生を楽しく過ごすことはできないのではないかと思った。逆もまた真なり。それが個性ではなかろうか。【続くかも】