2016年10月13日(木)

ラマ9世・プミポン国王が崩御されました。

その日を境に、タイ全土は深い悲しみに包まれました。
テレビでは、山間の村を大きな地図を手にしながら歩く国王の姿が、繰り返し放映されました。
自らの足で国民の暮らしを見つめ、支援策を考え続けた王の姿は、今も人々の心に刻まれています。

ある村では、国王の訪問を知ったおばあさんが、自宅の庭に咲く一輪の花を摘み、国王に渡そうとしました。
贈り物も買えないほど貧しい生活のなか、自分にできる最高の贈り物がその花でした。
険しい山道を一日かけて歩き、ようやく国王を迎える列にたどり着いた時、その花はすっかり萎れてしまっていました。

しかし、国王はその萎れた花を見逃さず、列の中からおばあさんに歩み寄り、そっと受け取り、優しく声をかけたといいます。
その瞬間を、おばあさんは一生忘れないでしょう。

そして、遠く離れた日本にも、似たような記憶があります。

モンゴルを国賓として訪問された平成の天皇陛下(現・上皇陛下)が、仏教の中心「ガンダン寺」を訪れたときのこと。
歓迎の花束を渡すはずだった少年僧(10歳)は、到着時に緊張のあまり渡すことができませんでした。
しかし、帰路で再び花束を手に待ち構えていた少年に、陛下は優しい笑顔を向け、丁寧に花束を受け取り、
「大きくなったら日本に来てください」と声をかけられました。

萎れた花束を握りしめたおばあさんと、渡しそびれた花束を差し出した少年。

王と天皇――ふたりの君主の優しさは、国境を越えて、人々の記憶の中に静かに息づいています。

プミポン国王はアメリカで生まれ、スイスの大学を卒業している。
王室と政府(官僚)の関係を自ら象徴的に位置におき、首都バンコクが発展する傍ら、取り残される農村地を訪れ、農地やダムを視察する姿。

カメラと地図を持ち、ノートに記録する姿はまさに新聞記者そのものに思える。

そのプミポン国王が、1999年にパッタルン県を視察され、アルニー先生と出逢った・・・