窓口 : 日本商工会議所 国際部特定原産地証明 TEL03-3283-7850 http://www.jcci.or.jp

日本国税関のHPから「実行関税率表」の第1類から第97類あるなかから、自分が輸出したい製品の分類番号を探しましょう。具体的にイメージしやすいように、日本からタイ国へ皮革製品の中でも「革財布」に絞って手順を説明します。

HS番号の意味を理解しましょう

 Harmonized System Codeの略語です。世界各国で製造される製品の素材・材質・使用目的により6桁の番号で特定する目的があります。実行関税率表では6桁の右側に3つの数字があり国ごとに更に細かく分類する場合があります。例えば牛革で作った革財布を輸出する時にインボイスにCow Leather Walletと表記することは正しいのですが、輸入する相手国でのW.T.O.(World Trade Organization) 外務省所管の世界貿易機構に加盟する164カ国(2021年8月末時点)が貿易をする場合の自国への輸入関税率を決めた関税率が記載されています。

 タイ国が日本製の革財布を通常輸入する場合は20%の関税が発生しますので最終的には消費者の負担となります。幸いにしてタイ国と日本国は二国間協定EPA / FTAを結んでいますので特定原産地証明書を取得し輸出すれば輸入国のタイ国の税関で20%の関税を請求されることはありません。

※一般的な原産地証明書と特定原産地証明書は使用目的が異なります。一般的な原産地証明書は、輸入した国で販売する時に「間違いなく日本で完成した製品であり原産国を日本として認める」という意味で使用されます。それによって輸入関税が免除されるわけではありません。インボイスにMade in Japanと記載するだけで輸入通関できる国もあります。何をもってMade in Japanと呼ぶかについては明確な基準はなく「実質的に変化を加えた」場所が原産地とされてきました。現在は特退原産地証明書が主流なのでそれに絞って話を進めていきます。

 革財布の主原料は革ですが、革にも種類がたくさんあります。一般的には食用の牛肉や豚肉の副産物として表面の革は食べずに、鞣して衣料品、靴、鞄、財布、その他皮革製品の材料として「素材に変化させる」ことにより廃棄するしかなかった皮を革という製品に変化させて製品を作る人に販売したのが皮革製品を作る産業がが今日まで続いてきたことの始まりです。廃棄するはずの皮を鞣して革にした時点で、HS番号は41類に属し、革の種類や鞣し方・仕上げ方により6桁の背番号が与えられます。ここでは6桁の番号を覚える必要はなく、41類とだけ覚えましょう。

 41類の革を仕入れて、裁断し、革漉きし、生地・芯材と貼り合わせて形が綺麗に見えるように、シワが出にくいように、形を長く維持するように加工をして製品に仕上げます。特定原産地証明書の条件を満たす証明は申請する会社・人が行わなければなりません。日本製という証明が得られて相手国の輸入関税が低減されたり、免除になる訳ですから、常にお金がかかわってきます。日本製でないものを日本製と偽って相手国で輸入関税を免除した上で、日本製として高く売る事が出来るのです。このように悪用する会社・人が犯罪を犯した時には追求できるように、申請する会社・人は法人名、登記した住所、個人の場合も居住住所など登録して許可されなければ、申請することが出来ません。

 41類の革と52類のコットン生地や96類のファスナー、そして83類のホック(卑金属: 容易に酸化する金属という定義にありメッキしていても構わない)を組み合わせて42類の革財布に「変化」することにより、皮革がイタリア製であっても、その他素材が外国製で輸入したものてあっても原産国は「日本国」になるという国が決めたルールです。

どのような製品を組み合わせて商品化するか、それが問題だ

 製品を企画し形にする仕事はモノづくりを行う専門企業の仕事です。消費者に役立つ商品を販売することが目的ですから、金額的に手の届く価格でなければなりません。素材の価格、加工人件費、物流費などが製造コストとなり、販売者が利益を得て次の仕事のために再投資したり、所得税を納税したり、新しい技術を機械化するために設備投資にお金を備蓄するなど「利益確保と再投資循環」がモノづくりを続けていく上で大切なのです。

 消費者が皮膚感覚で納得できる「価値」とその価値を得るための「金額」のつり合いを保つ上で、輸入関税という税金を免除し顧客に還元することが正しい考え方であります。10%のコストがなくなったので利益が10%増えたのではないのです。これはビジネスを行う企業に与えられた公平な条件なので、消費者はますます価値を理解するために目が肥えるのです。

 機械化により大量生産できる品物は24 時間機械が作り続けることも可能です。材料を大量に仕入れて作り続けることによりコストは限界値まで下がります。私たちのビジネスは生身の人間が機械化できるところは道具に頼り、より綺麗に作り上げる努力をしますが、毎日生きていく上で食事をとり、睡眠をとり、健康な状態で働く必要があります。適正な利益構造を維持し、無駄なコストを消費者に強いないことが最終的な販売価格を決める上で大切な事であると思っています。